「SNSで見かけた素敵なボールペン画。でも、自分には絵のセンスがないから…」と諦めていませんか?
この記事は、まさにそんなあなたのために書きました。結論から言うと、ボールペン画に絵心は不要です。むしろ、消せないからこその「失敗」が、世界で一つの「味」になります。この記事を読めば、その意味が分かり、今日からあなたもボールペン画を始められるようになります。
[著者情報]
この記事を書いた人
佐藤 かなえ (Sato Kanae)
イラストレーター / おとなのアート教室「アトリエ・そら」主宰
著書『今日からはじめる、わたしのスケッチ手帳』、雑誌『趣味の文具箱』にてボールペン画の作例を連載。元・絵が苦手だった私が、ボールペン画の楽しさをお伝えします。「絵は才能ではなく、楽しむ気持ちが一番の上達の秘訣です」がモットー。
「私、絵が苦手で…」その不安、ボールペン画なら大丈夫な理由
「絵を描いてみたいけれど、何から始めたらいいか分からない」「失敗するのが怖くて、なかなか一歩が踏み出せない」…。私の教室に来られる生徒さんからも、そういったお悩みを本当によく聞きます。特に「ボールペンは消せないから、難しそう」という声は多いですね。
そうですよね、そのお気持ち、よく分かります。私も昔はそうでしたから。
でも、ボールペン画が初心者の方にこそ最適な理由が、まさにその「消せない」という点にあるんです。
高価な絵の具や特別な紙を買いそろえる必要はありません。あなたのデスクのペン立てに入っている、ごく普通のボールペンと一枚のコピー用紙。それさえあれば、ボールペン画は今すぐにでも始められます。この手軽さが、あなたの「描いてみたい」という気持ちを、少しだけ後押ししてくれるはずです。
失敗は”味”になる!ボールペン画が最高に楽しい3つの秘密
ボールペン画の最大の魅力は、失敗という概念が「味」や「個性」に変わる点にあります。これは他の画材にはない、とても面白い特性です。ここでは、ボールペン画が楽しくなる3つの秘密をお伝えします。
- 一本の線と向き合える: 消せないからこそ、一本一本の線を大切に、集中して引くようになります。この緊張感が、逆に心地よい没入感を生み出します。
- 偶然の線が絵を豊かにする: 少しはみ出してしまった線や、インクがかすれてしまった部分。そういった偶然の産物が、計算され尽くした絵にはない、生き生きとした表情を作品に与えてくれるのです。この少しはみ出した線が、リンゴを瑞々しく見せていると思いませんか?
- 重ねるほどに深みが増す: ボールペン画は、線を重ねて色や影を表現します。薄い線を何度も何度も重ねていくことで、インクの層が生まれ、印刷物にはない独特の深みと温かみが生まれます。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 失敗を恐れず、まずは「ただの線」をたくさん描いてみてください。
なぜなら、昔の私も一本の線の失敗で紙をくしゃくしゃに丸めていましたが、ある時、そのはみ出した線が逆に絵を生き生きと見せていることに気づきました。それ以来、失敗は「個性」だと思えるようになり、描くことが何倍も楽しくなりました。この知見が、あなたの創作活動の助けになれば幸いです。
【3ステップで実践】今日から始める!世界一やさしいボールペン画練習法
それでは、実際にペンを持って描いてみましょう。ここでは、誰でも簡単に実践できる3つのステップをご紹介します。この手順通りに進めれば、あなたも今日、記念すべき最初の作品を完成させることができます。
ステップ1:道具をそろえよう
まずは道具の準備ですが、特別なものは必要ありません。
- ペン: あなたがお持ちの、ごく普通の油性ボールペンで十分です。もし新しく購入するなら、インクの出が滑らかなゲルインクボールペンも良い選択肢です。油性ボールペンとゲルインクボールペンは、それぞれ特性が異なるため、目的に応じて選ぶのがおすすめです。
- 紙: はじめは裏紙やコピー用紙で全く問題ありません。
| 📊 比較表 表タイトル: 油性 vs ゲルインク 初心者向け比較 |
特徴 | 油性ボールペン | ゲルインクボールペン |
|---|---|---|---|
| 濃淡の出しやすさ | ◎ (筆圧を反映しやすい) | 〇 (均一な線が得意) | |
| インクの乾き | ◎ (速い) | △ (少し時間がかかる) | |
| 初心者の扱いやすさ | ◎ (まずはこれから) | 〇 (くっきりした線に) |
ステップ2:線を引いてみよう
絵を描く前に、まずはただの「線」を引く練習から始めます。この練習が、後々の表現力を大きく左右します。
- 筆圧の練習: 紙の上に、まずは力を抜いた弱々しい線を、次にぐっと力を込めた強い線を描いてみてください。この筆圧のコントロールこそが、ボールペン画のキモです。
- ハッチングの練習: 同じ方向に、同じ間隔で、平行な線をたくさん描いてみましょう。これが影や面を表現する基本技法「ハッチング」です。線の間隔を狭くしたり、線をクロスさせたり(クロスハッチング)することで、より濃い影を表現できます。筆圧のコントロールができるようになると、ハッチングによる濃淡表現の質が格段に向上します。
ステップ3:丸を描いてみよう
線の練習が終わったら、いよいよ形を描きます。多くの初心者が、最初からお手本そっくりに描こうとして挫折しがちですが、心配いりません。
最も簡単なモチーフである「丸」を描いてみましょう。綺麗な円でなくても全く問題ありません。その丸の右下に、先ほど練習したハッチングで、そっと影をつけてみてください。
どうでしょうか? たったそれだけで、平面的だった丸が、少し立体的に見えませんか?
これが、あなたの最初のボールペン画作品です!
よくある質問(FAQ)
(文体モード: アドバイザーモード)
Q1: おすすめの紙はありますか?
A1: 練習段階ではコピー用紙で十分ですが、少し慣れてきたら「ケント紙」を試してみてください。ケント紙は表面が滑らかでペンが引っかかりにくく、インクがにじみにくいため、ボールペン画に適しています。
Q2: インクのボテ(インクだまり)を防ぐにはどうすればいいですか?
A2: ペンの先にインクが溜まってしまう現象ですね。これを防ぐには、ティッシュなどを近くに置いておき、描き始める前や、少しインクが溜まってきたなと感じた時に、ペンの先端を軽く拭うのが効果的です。
Q3: 何を参考に描けばいいですか?
A3: まずは、あなたの身の回りにあるマグカップや果物、文房具など、単純な形のものがおすすめです。写真を見て描くよりも、実物を観察して描く方が、形の理解が深まります。
まとめ:さあ、あなたも今日からアーティストです
ボールペン画の上達に、特別な才能は必要ありません。大切なのは、完璧な絵を目指すことより、ペンを走らせる時間を楽しむことです。
今回お伝えした3つのステップを、ぜひ試してみてください。
- 身近な道具を準備する
- 筆圧を意識して線を引く練習をする
- 簡単な「丸」から描いてみる
この小さな一歩が、あなたの新しい趣味の世界を大きく広げてくれるはずです。
さあ、今すぐデスクのペン立てから一本ボールペンを取り出して、コピー用紙にぐるぐると「丸」を描いてみませんか?それが、あなたの記念すべきアーティストとしての一歩目です!
[参考文献リスト]
参考文献
- Caran d’Ache. “ボールペンで絵を描くコツ”. https://www.carandache.com/jp/ja/learn-to-draw-with-ballpoint-pen
- アトリエエム. “初心者向けペン画の描き方と練習ガイド”. https://atelier-mtu.com/p02guide/
- Yokai Art Shop. “ボールペンで絵を描く方法”. https://yokaiartshop.com/howtopaintballpointpen/

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